九州自然歩道

人吉球磨を歩く

豊かな歴史と文化が織りなす暮らしをたどる旅

ブルートレイン

人吉盆地の中のまちなかでは、古くからの歴史遺産、百太郎溝・幸野溝をはじめとする土木遺産、癒やしの温泉、魅力的な鉄道、球磨焼酎を造る酒蔵などが点在しています。

百太郎溝

球磨川・川辺川の清流が流れ、四季折々の風景を見せる里山では、鮎・ヤマメ・ジビエ・つぼん汁など特色ある食を楽しめ、温かいおもてなしの民宿も多く、自然と共にゆったり流れる時間と豊かな暮らしが感じられます。

青井阿蘇神社

Route Map九州自然歩道の人吉球磨ルート紹介

※Google マイマップを利用しています

initiatives最近の取り組み

松谷棚田での棚田キャンプモニター実施
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くま川鉄道と連携した歩くイベントの開催
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鹿目地区ルートでの道なおしツアー企画・ワークショップの開催
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Interviewインタビュー

田中尚人さん
自己紹介をお願いします。
熊本大学大学院先端科学研究部准教授の田中尚人です。専門は、土木史と景観まちづくり、ということで、熊本県内では天草の﨑津・今富地区で世界遺産と共生するまちづくり、国宝通潤橋周辺や阿蘇地域では文化財保存・活用と持続可能なまちづくりの両立を、地域の風土に根差したかたちで実践しています。熊本に来て18年になりますが、2012年、茶谷幸治氏著『「まち歩き」をしかける コミュニティ・ツーリズムの手ほどき』に出会い、演習授業にて「まち歩き」を導入。ほぼ同時期に、美里町の井澤さん、濱田さんらが取り組まれていたフットパスに出会い、共感してフットパスの研究を行い、2018年には学生たちが主体的に「カレッジフットパスフォーラム2018in阿蘇』を主催しました。専門は、参加型手法による文化的景観保全、熊本地震以降は復興まちづくり、近年は社会教育経営や若者を中心にした地域文化の継承に力をいれています。
九州自然歩道に関わり始めたきっかけはなんですか?
2021年に、令和2年7月豪雨災害で人材な被害を受けた人吉・球磨地域の復興に、九州自然歩道を活かしたまちづくりを展開できないか、とのご相談を受けて、はじめて九州自然歩道の存在を知りました。人吉・球磨地域には、それ以前は世界かんがい施設遺産である幸野溝、百太郎溝の保存・活用、日本遺産「相良700年が生んだ保守と進取の文化~日本でもっとも豊かな隠れ里・人吉球磨~」と連携した地域づくりなどを実践していました。初めて訪れたまちや地域を歩くことは、まちづくりの第一歩だと考えています。 田中尚人さん
九州自然歩道には、どんな可能性を感じますか?
美里のフットパスがご縁で、「歩く文化を熊本に」という気持ちがあったので、九州自然歩道を通じて、地域や県境をこえて、人々がつながっていくことに魅力を感じます。私の専門は地域固有の歴史、自然環境、生活・生業が持続可能なかたちで生成される文化的景観という歴史的環境の保全です。人々は歩くことで、この地域の風土を知り、後世に伝えていくことが可能になる、と考えています。九州自然歩道を歩いたり、歩かせて頂いている地域の方々と交流することで、偶然出会った人々や風景と対話して頂き、熊本には「こんな素敵な場所があるんだ、こんな素敵な人々が暮らしているんだ」という実感が、人から人へ伝わるといいな、と思います。
今後九州自然歩道に期待することはなんですか?
簡単ではないと思いますが、より多くの方に知って頂き、様々な人が楽しいと思って関わっていけるようなインフラとして経営していけたらいいな、と考えており、そのために必要なソフト・ハード・仕組みを整えていきたいと思います。誰もが楽しめる、人々をつなぐような存在になるといいな、と思います。
九州自然歩道人吉球磨ルートでおすすめのスポットは?
世界かんがい施設遺産にも選定されている「幸野溝・百太郎溝」です。球磨川上流域の人々の暮らしや風景が堪能できると思います。
山口久臣さん
自己紹介をお願いします。
九州自然歩道フォーラム副代表の山口久臣、ニックネーム、キャンプネームはボスBOSSです。野外教育、環境教育、国際教育に取り組み35年以上になります。阿蘇くじゅうエコツアーのガイド&インタープリテーションや、子どもの長期キャンプに関する野外教育論及び野外キャンプ全般、環境地域づくりのプロデュース&コーディネーションなど、自然学校とツーリズムをテーマとした環境地域づくりがライフワークです。
趣味はキャンプ、山歩き、エコツアー、アルキング、トレーニング、リバートレックングなど アウトドア・スポーツ。それに風景画、作詞・作詩、クッキング(特に野外料理)、家事、料理、弁当づくり、 旅、温泉巡り、人生談義 です。
九州自然歩道に関わり始めたきっかけはなんですか?
ロングトレイルには昔から関心がありました。10年程前に環境省の友人から”九州自然歩道の復活を!!”と云われ、それに乗ったのが、関わりのきっかけです。
九州自然歩道には、どんな可能性を感じますか?
九州自然歩道を活用した事業展開として、以下のようなツーリズム、地域づくりの可能性を考えます。
➀人が心身共に健康になる。(ウェルビーイング)
②自然保護と環境保全及び、環境教育の推進。
③“歩く”ことのコミュニティ・ビジネス化(CB化)&ソーシャル・ビジネス化(SB化)と自然学校事業の振興。
④地域資源(自然、文化、人等)を活用したツーリズム(体験型&観光型&交流型の観光)型地域づくりの振興と推進。
⑤SDGsのローカルアジェンダ(地域行動計画)の1つである“地域循環共生圈“における地域の元気で有機的な繋ぎ方、結び方への具現化と方法の推進。
今後九州自然歩道に期待することはなんですか?
九州自然歩道の活用によるプロジェクトの組成を期待、自ら進めたい。
具体的には、その地域の素材や資源(自然、文化、遺産、人材等)を活用し、地域の人材の適材・適所によるガイド(案内者)、インタープリター(解説者)、インストラクター(技術的指導者)等による魅力的な体験プログラムの商品化。
“歩くことと歩く文化”の創造と活用による創造的な地域づくり、地域振興、地域活性化への事業化。
そのためにも、既存の法人や組織、機関等との関係性、関連性、連携、協働を進めたい。九州自然歩道がそのきっかけになることを期待します。
九州自然歩道人吉球磨ルートでおすすめのスポットは?
山コースと里地・里山のコースがあるのが魅力だと思います。だけど、42年前に創られたコースなので、ルートの見直しは必要だと感じています。
福島優さん
自己紹介をお願いします。
九州自然歩道フォーラムの事務局長しています、福島優です。大学生の時、九州自然歩道に魅了され、新卒で九州自然歩道フォーラムの事務局をしていた、NPO法人グリーンシティ福岡に入職。6年後、九州自然歩道フォーラムとともに、独立し事務局長に就任。フットワークの軽さと熱意を武器に、九州7県全てをめぐり九州自然歩道の活用に取り組んでいます。一方、宮崎県高千穂町でアウトドアプログラムの開発をしており、タカチホ棚田キャンプ事業や、役場や観光協会と一緒にアドベンチャーツアーの造成をしている「高千穂アドベンチャーツーリズム協議会」の運営などを行っています。フォーラムや高千穂での活動を通して、自然フィールドや地域の資源を生かしたプログラム開発を主にやっています。
九州自然歩道に関わり始めたきっかけはなんですか?
中高一貫校の探険部が、毎年夏に100キロ歩くと言う部活動を行っており、2003年中学1年生の時に種子島縦断したのがはじめての歩き旅。その後6年間毎年日本各所を歩いて、探険部にのめり込んでいました。大学で九州に住み始めて、長期休みを利用して福岡市を起点に、九州の県庁所在地、全て巡る体験を通して九州の素晴らしさを実感。その道中に知った九州自然歩道を調べると、九州を円でつなぐ壮大なロングトレイルと知り、これはぜひみんなに知ってもらいたい!九州を歩いて好きになってもらいたい!との想いから新卒で九州自然歩道フォーラムに関わり始めました。新卒で何が出来るわけでもないですが、歩くことが大好きなことだけは変わらないので想いを持ち続けて取り組んでいます。
九州自然歩道には、どんな可能性を感じますか?
九州自然歩道は全長3000キロの九州7県を巡るロングトレイルです。私が思う九州自然歩道の魅力は今まで訪れることのなかった九州の魅力的なスポットへ訪れられることです。どうしても観光でドライブで自分で決めていこうとすると、限られた情報の中から趣味嗜好に応じて行き先を選んでしまいますが、九州自然歩道と言う道を歩くことでまだ訪れることのなかった地域へ行けて、そこの自然歴史文化、そして暮らす人たちに出会うことができ自分の世界を広げてくれます。そして、何より”歩く”ということが大切で、自分の体で感じることで、九州の地域の連続性を味わうことができます。九州はポイントでできているのではなく、全てつながっていることを感じられます。
今後九州自然歩道に期待することはなんですか?
九州自然歩道は、1980年に全線開通し、環境省及び各県が維持管理してくれています。しかし自然災害や老朽化によって歩きづらい場所だったり、情報が不足していたりと課題も多く見受けられます。それらの課題をみんなで少しずつ解決していき、九州に来るなら自然歩道歩きたいよねと思ってもらえるような地域を作っていくことが目標です。そして九州自然歩道によって訪れる人と地域がつながり、九州を大好きな人が増えていくことを期待しています。

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